MCNEWS

2005.2.

      
 ≪ ホルモンの働き3・副腎髄質ホルモン ≫

T.副腎髄質

脳・視床下部 ←ストレス・低血糖・寒冷などの刺激
   ↓
交感神経 → ノルアドレナリン
   ↓
副腎髄質  →  アドレナリン・ノルアドレナリン

副腎は外側にコルチゾール・アンドロゲン・アルドステロンを分泌する副腎皮質があり、内側にアドレナリン・ノルアドレナリンを分泌する副腎髄質が存在します。アドレナリンとノルアドレナリンは構造がよく似ていてカテコールアミンとも呼ばれます。副腎髄質から分泌する割合は約80%がアドレナリン、約20%がノルアドレナリンです。

U.副腎髄質で合成されるホルモンと働き

ノルアドレナリン

アドレナリン

原料

チロシン(アミノ酸)→ドーパミン→ノルアドレナリン→アドレナリン

標的組織

自律神経に支配されている全ての組織

心臓 肝臓 すい臓 胃腸 腎臓 冠動脈・筋肉・内臓などの大きな血管 その他の血管 皮膚 筋肉 脂肪組織など 

関連疾患

自律神経失調症 褐色細胞腫 副腎機能低下症

ノルアドレナリンは副腎以外に、交感神経の伝達物質でもあるのでほとんどの器官に分布する交感神経終末でも合成されますが、アドレナリンは副腎以外では合成されません。これはノルアドレナリンからアドレナリンへの変換に必要な酵素が副腎髄質にしか存在しないからです。

1.  自律神経と副腎髄質ホルモンの関係

自律神経は、内臓器官の消化運動やホルモン分泌のように自分の意志に関係なく働く神経で、交感神経と副交感神経に分かれます。
「自律神経失調症」は、交感神経と副交感神経が正常に働かず、発汗の不必要なときに発汗するなど、各ホルモン分泌の調整が難しくなっておこる症状をいいます。

1)交感神経 

・交感神経は「戦いの神経」と呼ばれ、身体を緊張状態にさせます。

・交感神経は副腎髄質を刺激してアドレナリン、ノルアドレナリン、ドーパミンなどのホルモンを分泌します。

交感神経の緊張状態が続くと、消化作用が抑制されて食欲不振になるほか、栄養の消化吸収が低下します。そして腸管の緊張状態が続くようになり便秘になる場合もあります。また瞳孔が開いている状態が続くと不眠症になるなど様々な症状が現れます。

2)副交感神経 

・消化・吸収器官・インスリン分泌など内分泌を調節する。

・「休息の神経」と呼ばれ身体をリラックスさせる。

副交感神経の働きが弱いと交感神経の緊張が続くため、リラックスできず、睡眠障害・不眠・疲労感が取れないなどの症状がおこります。逆に、副交感神経の緊張が続くと、血圧低下・心臓拍動がゆっくりになる・活動意欲の低下などが起こります。「無気力」や「うつ病」というのは、自律神経の働きが副交感神経に偏った場合にも起こります。

仕事・勉強や緊張した後に疲れて眠くなるのは、交感神経の緊張の後に身体を休ませようと副交感神経が働いて眠気を起こすからです。レシチンは副交感神経の神経伝達物質(アセチルコリン)の材料になり、自律神経失調症の予防になります。

( 交感神経と副交感神経の働き )

心拍数

呼吸

消化作用

交感神経

促進

上昇

促進

抑制

増加

拡大

収縮

便秘

副交感神経

抑制

下降

抑制

促進

減少

縮小

拡張

下痢

※ 交感神経と副交感神経は逆の働きをするので、お互いの神経がバランスよく働くことが、身体にとって良い状態と言えます。

(3)アドレナリン

身体・精神状態を興奮させ、過度のストレスに対応します。また低血糖時に分泌することで血糖値を上昇させます。”攻撃ホルモン”と呼ばれ気分をイライラさせ、暴力的にもなります。体内に抗酸化力が弱い場合、アドレナリンがメチル化し毒性物質のアドレナクロムになります。これは幻聴・幻覚など知覚異常を起こし、妄想を引き起こす原因と考えられています。

アドレナリンによる血糖値上昇の仕組み〉

アドレナリンは肝臓を刺激しグリコーゲン→ブドウ糖へ分解を促進します。同時に血糖値を下げるインスリン分泌を抑制するため、血糖値は上昇します。

 (4)ノルアドレナリン

私たち人間の思考・判断・記憶・創造・感情などの精神活動は大脳皮質で行われています。ノルアドレナリンは大脳皮質の情報をやり取りする神経伝達物質になりますが、低血糖・ストレスなどによりノルアドレナリンの濃度が急上昇すると、大脳皮質の興奮が続いて理性的な判断・思考が難しくなります。そうなると自分の思いついたままに話したり、発作的な感情(キレる、パニックなど)を引き起こす場合があります。またノルアドレナリンの過剰分泌は消極的な感情(恐怖感、自殺観念、強迫観念、不安感など)を引き起こす原因にもなります。

V食生活で気をつけること

@喫煙   ニコチンは副腎を刺激してアドレナリンを分泌させるので血糖値が上昇します。

Aカフェイン ニコチンと同様に副腎を刺激します。アドレナリンが分泌されることで身体が興奮し眠気が覚めます。

Bストレス 過剰なストレスもアドレナリンを分泌させます。ストレスの状況によって分泌されるホルモンの割合が異なります。個人にとって経験済みの感情的ストレスに対してはノルアドレナリンが増加し、その先どうなるかわからないなどの未知のストレスに出会うとアドレナリンが増加します。            
            

C低血糖  糖質過剰の食生活(インスタント麺・スナック・菓子パン・甘い菓子・糖類の多い飲料)は、高血糖→インスリン(上昇した血糖値を下降させる)過剰分泌→低血糖→アドレナリン・ノルアドレナリン分泌を起こします。

低血糖時の症状 
空腹感、あくび、脱力感、頭重感、冷や汗、ふるえ、動悸、けいれん、性格の変化(凶暴・落ち込みなど)、注意力、集中力の低下、意識障害などが表れます


食事

交感神経を鎮めるホルモンにセロトニンがあります。主にタン白質に含まれるトリプトファンからつくられるのでタン白質(肉・魚類・卵・乳製品・大豆製品)をしっかりと摂取しましょう。

ミネラルの多い小魚・ナッツ・海藻類、ビタミン類が豊富な緑黄色野菜・豚肉、穀類(米・小麦・砂糖など)は未精製のものを摂取すると酵素が活性化し栄養の代謝が良くなります。

食事以外に間食を摂ると低血糖予防になり、副腎髄質ホルモンの過剰分泌を防ぎます。
間食には砂糖を多く使った菓子類・清涼飲料水(単糖類)より、米・イモ類に含まれる多糖類のほうが、吸収が穏やかで血糖値を急激に上げず、糖をエネルギーに変えるビタミンB群が豊富です。
他にナッツや蛋白質の豊富な乳製品も間食におすすめです。

W.栄要素

@プロテイン:12030g。ストレス時には、普段より約56倍のタン白質が消費されます。副腎髄質ホルモンを合成する際にタン白質とビタミンCが必要です。ストレスが長く続くなどで副腎髄質ホルモンが過剰分泌されるとタン白質・ビタミンCが不足し副腎の疲労を招きます。副腎の疲労は血糖値を不安定にさせます。他に風邪・アレルギーの症状も副腎に負担をかけるので症状改善のためにビタミンCと消化のよい蛋白質の摂取をおすすめします。

AビタミンC:1日3000r〜。ストレス時にはビタミンCが多量に消費されます。副腎でのホルモン分泌を助けるほか、抗ヒスタミン作用があるので皮膚炎・鼻炎症状をやわらげる効果があります。

BビタミンBコンプレックス:1日100150mg。タン白質・糖質・脂質の代謝に不可欠です。B1・B2・B6とバランスよく摂取することをおすすめします。 

     ホルモン分泌の調整にはビタミンA・Eも効果的です。

     貧血の方は鉄の補給が必要です。鉄は脳内の神経伝達物質の分泌を安定にします。貧血があると脳神経の働きが低下し、自律神経失調の原因にもなります。

X.運動

全身を使う運動は心肺機能を高めることで自律神経、特に交感神経を鍛えることが可能です。運動中は必要な酸素量が増えるので、脈拍を早くするために交感神経が働きます。運動後は速い脈拍をゆっくりと元に戻すため副交感神経が働きだします。準備運動・運動後のクールダウンをしっかり行なうと交感神経と副交感神経の切り替えが順調になります。また、ヨガ・腹式呼吸は副交感神経を高めるのでリラックス効果が期待できます。

セロトニン分泌には朝日を浴びながら軽い体操も効果的です。